レトロフューチャー
浜松市中区にある姫街道沿にUFOが無数に飛び回っている。
あれはアダムスキー型か!?
など考えつつ、あわててカメラのシャッターを切ったその一枚がこれだが、
実にそれは未確認な街灯であった。
その道なるUFOの街灯とPAOとの遭遇ではあるが、
一つの側面から見ると両者に共通する点が存在する。
それはどちらもある時代の未来的な発想なのである。
1930年代から1970年代前半にかけ、人類の科学技術の発達や
革新的技術による先進的な未来像への盲信的な憧れや信頼感を
持った時代が存在したが、当時は遥か未来だった21世紀の現実は、
必ずしも「かつて思い描いていたバラ色の未来」とはなっていない。
すぐにでも実現するはずだったあたしの宇宙旅行や惑星開発に至っては
一向に進展を見せないからである。
そして社会の将来や世界情勢に明るい希望が持てない不安の裏返しとして
レトロフューチャーという流行『かつての、希望と躍動に満ちあふれた未来を
思い描いた時代への一種の『郷愁』の対象として見ている』が起こる。
平たく言えば「19世紀後期から20世紀中期までの人々が描いた未来像」
への懐古趣味、当時のそういった描写を好む
(現実の未来と比較し、郷愁性を楽しむ)コトであり
PAOとUFOのような街灯はデザインの思考から
その共通点はレトロフューチャーであると言える。
PAOトラディショナル 前方正面姿見
今回は静岡県浜松市にお住いのM様の元へお届けにあがられた
PAOトラディショナルをご覧頂く。
諸元であるが、平成元年式、1000cc、無事故車。走行距離も少なくとても美しい
アクアグレイというカラーの車両である。
PAOトラディショナル 右舷前方姿見
バンパーやグリルのラッカーフィニッシュには純正のシルバー色を採用し、
お久しぶりにホイールなども純正色である。
ワイパーは元は半艶ブラックであるが、オーナーのオリジナル色で(シルバー)
仕上げが施されておりオーナーのセンスが伺えるところ。
ヘッドライトには通称まつ毛(ヘッドライトピーク)の装着は無く
PAOの素顔が伺えるのである。
PAOの素顔は美しい造形
PAOのプロトタイプではフロントエプロンの形状がすこしリップスポイラーの
ように飛び出ていたが、それを除けばほぼ市販車と同形状であった。
しかし、このプロトタイプが出来上がるまでには数々の苦心作が生まれては消え
PAOとならんハオが製作されたことは、あまり知られていない。
だから美しい造形を観るということは、それだけでとても幸せなことなのである。
ワイパーのシルバーラッカーフィニッシュ
外装では、唯一塗装で非純正となったワイパー。
オーナーのこだわりは一つひとつの部品にまでおよび
その心得がPAOを長く大切に保つという姿となるようだ。
クラシックカーでは鍍金処理が当たり前であるが、
PAOにはこのシルバーの艶消し、もしくは半艶仕上げがCOOLである。
謹製ウェル帆布 ダッシュ上下の張替え
特にクルマは男性目線で製作を進めてしまいがちであり、
ハッと気づかされるカラーリングはこちら。
女の子らしいその色合いはあたしのようなオッサンには理解する事は出来ても
あたしから発信することはないから、とても勉強になった。
この場合キュート、と言えばまずは間違いない。
謹製ウェル帆布 60スタンダードレザー
オーナーの想像力がすべてのレザーシートの張替え。
十人十色とは良く言ったもので、それぞれにそれぞれの
カラーが選択されてとても面白い。
シート裏のポケットのカラーリングも自由に選ぶことが可能
ポケットのパーツとしては、上蓋(うわぶた)、袋(ふくろ)、ベルト、パイピング、袋マチ、
合計5か所がそれぞれに色が選べる。
ただ一つだけ補足が必要だが、全部選べるからといって、やみくもに全部色を変えても
それはお洒落ではないから、ちゃんとじっくり考えて選んでほしい。
今回のはとてもキュートな仕上げで、ベルトの濃い色がアクセントとなっている。
PAOちゃんとM様をガシャ!!
この度はPAOトラディショナル納車、まことにおめでとうございます。
長らくお待ち頂きましたがたくさん整備させて頂きました。
浜松のうなぎパイ
またまた、お土産まで頂き恐悦至極にぞんじます。
今日はコレまで。
本日の名言
過去のものといえども、
真に価値あるものは、
常に新しさを含んでいる。
by柳宗悦
そうですなぁ、PAOは常に新しさを感じて乗ることが出来る
魔法のようなクルマ。年月が経てば経つほど、どんどん新しくなっていくような
気が致します。