日産PAO 文化財保護級修復の工法を探求するの巻!

どんもす~。ウェルです。
本日はPAOの外装の修復をご覧頂くのだが、
文化財修復級の工法を探求するという
言いあらわす事の難しい至極のコダワリをご覧頂きたい。
PAOデザイナー 古場田氏の車両だ
文化財保護的修復が行われる車両だが、
実はPAOチーフデザイナー古場田良郎氏の車両である。
ただならぬ方(ウェルの神様的存在)の車両の修理とあって
今回はウェル流の文化財保護的修復の考えと工法を打ち出した。
それがコレだ。
①限りなく当時の純正塗装部分を残す。
(PAOオリジナルの塗装面を保護する)
②当時のフッ素樹脂塗料メーカーの塗料を使う。
(PAOが製作時に使用された当時の純正塗料塗料メーカーの塗料を選定)
といった具合に限りなく当時の面影を残す工法を採用する。
さらに、塗装面のピッチ(細かな錆)には
特殊な表面処理を施し、無機ガラスコートで覆うといった
オリジナル塗装面の延命にも力を尽くすのだという。
上記の感覚はエンスー(熱心、熱狂的な方)なら感じて頂けるだろう。
悪いところは全部塗装して綺麗にすれば良いというのが
一般的な考えであり、現在スピードウェル社で販売するPAOには
その一般的な感覚で仕上げが施されているのだが、
今回は全てがピカピカになる、ならないといった感覚ではなく
オリジナルの状態を限りなく保つといった前者の考えが
文化財保護級の工法といった所以(ゆえん)なのである。
右クォーターが修復対象
目を凝らして見ると、フェンダーアーチに一つ錆、フェンダー後ろ下部
にボディーの割れが確認できるであろう。
今回の修復対象となる部分は、右リヤクォーター『右リヤフェンダー部』から
サイドステップにかけての錆により塗装が浮き上がっている所と
ドアミラー、ライセンスランプカバーだ。
またドアミラーとライセンスランプカバーは樹脂で出来ているゆえ
塗装の劣化もかなり激しく、現在生存している全てのPAOに修復
(ラッカーフィニッシュ)が必要な部分でもある。
(スピードウェル社の発売するPAOには全てが施されるから安心だ)
Cピラーに歪が生じていた
おおっと、見逃すところではあったのだが、
Cピラーのガラス蝶番部ボディー面が大きく湾曲している。
この部分は何も無くても塗装がかかるゆえ板金し修復するコトとなった。
サイドステップ部だ
サイドステップの継ぎ目も塗装面が浮き上がっている。
内側から錆が進行すれば錆のある部分は切り取らないと
どうにも行かなくなるのだが、
PAOはそのような錆の進行はあまり見られない。
実はそれには大きな理由があった。
なんと聞いて驚く事無かれ。車体の錆びやすいところには、
古場田氏のコダワリなどによりマーチのカナダ輸出向け用の防錆鋼板が
PAOには惜しげもなくおごられていたのである。
この防錆鋼板のおかげで、PAOのボディーは錆がまわり難く、
20年という歳月が経ったにも関わらず、
ほとんど錆の無い車両が今もなほゴロゴロしている。
古場田氏の3,4,5オーナーが乗れるという当初の考えが
現実のものとなり得た訳だが、スペックでは言いあらわす事の
出来ない、見えない努力が今になって生きてきているのであった。
古場田氏に皆脱帽である。
右クォーターが修復対象
右クォーターの悪い部分を剥いでみた。
そうするとどうだろう、かなりぽっかり穴が開いてしまっている。
右クォーターが修復対象
これは一大事である。
右クォーターが修復対象
フェンダーアーチもインナーパネルまで見えるぐらい
欠如していた。
右クォーターが修復対象
Cピラー部は板金で対応出来そうだ。
右クォーターが修復対象
熟練のクラフツマンがフェンダーアーチを修復する。
どうだ、パテを使わずボディー表面の整形が行われたであろう。
この部分はパッチワークが施された訳だが、
ステンレスの鉄板を使用することにより
今後その部分から大きく錆が発生する事を抑止している。
さらに、表面の処理を行い、防錆剤を塗布しさらにサフェーサーで
抑えるゆえかなり強力に錆の発生を抑止するコトに成功するだろう。
と言う事で、前編はココまでだ。
文化財修復級の工法、今日はコレまで~。
本日の名言
消極的な成功より
積極的な失敗を

by原辰徳
そうです。
それぐらいの気持ちで行きたいものです。
積極的になる事が大事でありましょう。

日産PAO 文化財保護級修復の工法を探求するの巻!” への8件のコメント

  1. 丁寧な修復作業に脱帽であります。
    前回の板金屋さんの雑な仕事が暴露されていますね。
    一般的にユーザーはどんな修復がなされたのか知ることができないのです。
    こんなレポートがあるととても安心できます。

  2. 恐悦至極でございます。
    一般的に板金の仕事内容などは
    あまり知られていないところでもありますので
    作業内容をご確認いただければ幸いです。
    後編もアップいたしますので
    どうぞよろしくお願い致します。

  3. 良い仕事してますね!
    だんだん塗装が乾かない季節になってきましたけど
    焦らず頑張ってください♪
    20年物のアイボリーの色合わせが難しそうですね
    完成するのを楽しみにしています!

  4. 非常に興味深く有意義なレポートを有り難うございます。。。
    うちのパオ♂様は、天井部分の大規模補修を二度(各30万円超)ほど実施したのですが、その工程については謎のままなのです。。。
    それと、フロントガラス周辺にも錆が進行しており、一度応急処置をしております。。。
    具体的なレポートを頂き、大変参考になります。。。

  5. 多趣味おやじさま
    20年もの、なかなか色味が難しいですが、
    うんまいこと行きました。
    今後共頑張ります。

  6. パ男さま
    それはそれは大変な補修を施されているのですね。
    しかし、パ男さまのPAOは現役最長の走行距離を
    樹立されているようで、なんとも修復内容など
    興味深々でございます。

  7. papaさま
    侘び錆?
    いや侘び寂びの世界ですね~。
    全てを綺麗にするのも一つ、
    こうしてオリジナル部分を残すのも一つ。
    まさにわびさび。

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