中山道を走るPAOに円空仏
中山道は江戸の五街道の一つで本州中部の内陸を通り京まで繋がれている。
丁度その宿場町が岐阜県中津川の落合にあったので、PAOを停めて記念撮影させて頂いた。
そこには落合本陣という一際大きい建物があって、立札を読めば明治天皇が巡幸の際
ココで休憩をとられたと書いてある。その当時はまだ自動車や電車がほとんど無い時代だから、
御所車に乗って街道を進まれたのだと思うと、現在では誰もがクルマに乗ってスイスイ移動でき、
道の駅なども整備されているのだから街道沿いの宿場町がなくなってしまうのは必然である。
しかしPAOに乗って小休憩するのなら、日本の原風景たる宿場町がとても良く似合う訳だ。
調査するとこの地域でも日本の原風景を大切にしようという働きがあるようで
築200年を超える建屋をお洒落なギャラリーにしたお店などが存在していたから
わたしは其処を訪ねると、円空なる木彫りの仏像が出迎えてくれた。
円空は民衆が気軽に拝めるようにこっぱぎを使って一刀彫により仏を彫った。
ゴツゴツとした野性味に溢れながらも不可思議な微笑が現代語で言うオシャンティーである。
この円空仏は日本中に約5千体ほどが確認されているがそのほとんどが
個人所蔵ではあるが、、そのデザインが芸術的に高く評価されたために
大寺院で秘仏扱いされる事もあった。
PAOも円空仏に負けず劣らずゴツゴツとした野性味に溢れながらも
愛らしい顔が素敵なクルマであり、日常の何気ない使用を望んではいるが
そのデザインが美術的、芸術的に昇華したため、オーナーが愛着を持って
大切に保存するという扱いが行われており、日産自動車では
ヘリテイジ(遺産)として登録がされている。
PAOトラディショナル 前方正面姿見
この度は岐阜県中津川市にお住いのY様の元へお届けに上がられた
PAOトラディショナルレストアをご覧頂きたい。
今回のPAOトラディショナルレストアではあるが、ボディーのレストアに加え、
エンジン、ミッションを一新し、PAOを復元させたモデルと云える。
内装のシートはレザーにより張替えは行ったが、PAOのカラーを大切にした感覚は
オーナーが拘ったところ。
PAO フロントフェス
バンパーやグリル、ワイパーやホイールのラッカーフィニッシュには純正色により復元。
人間何かしたくなるというのは自然の摂理なのかもしれないが、こうした純正で純粋なPAOの
造り込みも非常に大切である。
謹製ウェル帆布 60スタンダードレザー
今回のカラーは座面は象牙色で側面はオリーブグレイというツートンカラーであり
オーナーのコダワリにより純正を彷彿とさせるイメージで製作が行われた。
PAOの七不思議の一つであるが、アイボリーのPAOだけアンダートレイ色が
浅いグレイ色で仕上げられている。
後部座席にヘッドレストが鎮座した。
本邦初公開、後部座席のヘッドレスト。
安全基準を高めようというコトで、オーナーが希望により製作した一品である。
ヘッドレスト取り付け図会
5名乗車であるが、中央部に取り付けると少し後部の視界が悪くなるので
5人は乗れるが4名乗車での取り付け位置となっている。
オーナー様のご家族も4名ということで、それに合わせた仕上がりだ。
新品エンジンが鎮座した。
エンジン、ミッションに加えオルタネーターやエアコンのコンプレッサー、
パワーステアリングのシステムなど一新し、これからも長くお乗り頂ける仕様で製作。
ネット上ではPAOは時速100km出ないなど、へんてこな書き込みなど見たことはあるが、
そんな車はニッサンが販売することは無い。
しかし、そこにはメンテナンス不足で起こりうる可能性はあるのだから
大切な愛車にはメンテナンスといふ愛情を注ぎこんでもらえれば良いだろう。
PAOトラディショナル 後方正面姿見
納車おめでとうございます
この度はY様、PAOトラディショナル納車誠におめでとうございます。
大変お待たせいたしましたが、大切に製作させて頂きました。
これまたお土産もたくさん頂き、駅までお送り頂きましてありがとうございました。
今日はコレマデ。
本日の名言
技術の上手下手ではない。
その心が人をうつのだ 。
by小澤征爾
其処に真の心があるか、ないかでしょうなぁ。