PAOと日本の修理工法
すでにわたしの田舎でも見かけなくなったのが、瓦の備蓄である。
昔は台風が来るたんびに瓦が飛ばされたから、家もしくは納屋の片隅に
瓦を行儀よくならべていたものだ。
だから今でも瓦が並んでいるのを見かけたなら、何故かわくわくドキドキするのは
子供心に台風はスリル満点で楽しいものと認知していたのである。
今回は林田の有名な屋敷の前でパオを撮影していたら、屋敷は江戸から明治にかけて築かれたと、
説明がされていたから、まあ御門の屋根も本瓦葺きでたいそう素晴らしいものだなと
思い眺めていたら、そこには重大な事実が隠されていた。
それは二十間ほどある御門の瓦屋根は新品に葺き変えられていた、
しかし、一間ばかしだけ、江戸から明治に掛けられた瓦が使用されていた事である。
こう云ふ修理方法は日本人がモノを大切にする、素晴らしい作法であり
古くは東大寺の大仏様なんかは二度も焼き討ちなど災難に合いながら、落ちては復元している訳だが
台座や右の脇腹、両腕から垂れ下がる袖、大腿部などに一部建立当時の天平時代の部分を残し、
体部は大部分が鎌倉時代に頭部は江戸時代に付け加えたものである。
古いからといって全体を作り変えるのではなく、上手に修理する力が日本人にはあった。
だが今のクルマの修理方法といったら如何なものだろう。
何か不具合があればなんでもかんでもアッセンブリー交換である。
挙句に、修理代が高くつくので乗り換えた方が良いなどと催促する
ディーラーの営業にわたしは、ただただ脱帽である。
PAOトラディショナル 左舷前方姿見
この度は兵庫県宍粟市にお住いのY様の元へお届けに上がられた
PAOトラディショナルをご覧頂く。
車検を受けたままなので、ホイールのセンターキャップを後ほど装着するから
これは、装着前の写真である。
外装はバンパーやグリル、ホイールやワイパーなど含め
すべてがオリジナル(純正色)でラッカーフィニッシュが行われ
PAOそのものの外観を味わえる仕上がりとなっている。
PAO フロントフェス
バンパーやグリルに加え、牽引フックやフロントエプロンのビスに至るまで
手入れが施されており、とても美しい仕上がりを見せている。
PAOのグリルバッジも新品同様に美しい。
謹製ウェル帆布 60スタンダードレザー
今回の60スタンダードレザー張替えにはオリジナルの内装で使用されている
象牙色(アイボリー)をシート全面に採用。
パイピングはオリーブグレイをチョイスし、派手ではあるがPAOのカラーを
そっと加えている。
PAO トラディショナル 側面姿見
PAOは都会の大冒険と云ふキャッチが存在したが、
こうした日本の原風景にも良く似合う。
都会でも田舎でも、PAOに乗って走れば大冒険となるコト間違いはない。
PAO トラディショナル 右舷後方姿見
純正のスチールマフラーも耐熱塗料で塗装が行われ
仕上げには余念はない。
本当は下廻りをご覧頂きたいのだが、シャシーブラックで
入念に塗装された様は息をのむ美しさであり、
洗車の都度に下廻りも拭きたくなるものである。
Y様のお父様とPAOちゃんをガシャ!!
この度はY様、PAOトラディショナル納車誠におめでとうございます。
末永くお乗り頂ければ幸いです。
点検のほうもお待ちいたしておりますので、ご都合の良い時にご来店ください。
お父様には、バス停までわざわざお送り頂き恐縮です。
今日はコレマデ。
本日の名言
修理した部分が味わいになるような
金継ぎのような感覚。
部品のヒビや欠損を修復して景色にする。
by古場田 良郎
修理もアートの領域のような修繕方法です。
クルマもこうして大切にしたら本当に美しくなりますね。