どこから見ても美しい
これは、名車に当てはまる霊的現象である。正面からも後方からも側面からも、斜め45度からも、その全方位。どこから見てもすこぶる美しく感じる訳である。その中でも好みはわかれる訳であるが、わたしは後方45度の角度から望む自動車のシルエットが特に魅力を感じる人種である。ラシーンは右後45度はスペアタイヤが主張するから、左後方であれば、バランスよくフロントフェース以外の景色を眺める事が出来る。さらに脳内の必須アミノ酸トリプトファンから生合成される神経伝達物質のセロトニンによってもたらされるフロントフェースの余韻によって、まるで全景を眺めているような気さえ、感じられるのが人間の脳の深所である。
ラシーンと記念撮影
この度は、兵庫県宝塚市にお住いのG様へ納車されました、ラシーントラベラーをご覧頂きたいと思います。後期モデルのカラーであるライトブルーの車体をボディーはレストアを施し、内装はシートの張替え、インストルメントパネルの塗装、ウッドハンドルの取付、その他リペアを行い製作されました。
バンパーやグリル、フロントエプロン
それぞれに塗装も行われ、ボディーは全体的に新車のように。フロントガラスのアッパーモールも新品に交換を施し、万全の態勢。
ナルディウッドステアリングが鎮座した。
物価高や為替の変動、戦争などにより、価格が高騰したナルディウッドステアリング。10年前からは2倍ほどの価格である。世界的には資本主義での物価上昇は当たり前であって、日本人の牛丼価格の価値観がシフトしていかないと、世界で取り残されてしまうだろう。いや、すでに取り残されてしまっている。
パネルラッカーフィニッシュ
パネルのラッカーは質感が命である。適当な塗装仕上げはそのクルマの価値を下げてしまいかねない。今回もオーナーのこだわりを具現化するべく、拘り貫いて塗装を行った。要するに、単なる塗装では無いのである。
ホイールのラッカーフィニッシュ
アイボリーのラッカーフィニッシュは四駆ではプリミティブな印象でCOOL.タイヤのパターンもV溝パターンではなく、いわゆる下駄のようなブロックパターン的なものがラシーンには乙なものである。あと、ラシーンはなんといっても、ドアの下のボディー、いわゆるサイドステップもしくはロッカーパネルの仕上げが、美しさの匂いとなる。中古車はそのほとんどが塗装が終わっていて、全く美しく感じないのである。と、この訳の分からない拘りがスピードウェルそのものと言っても過言ではない。お洒落は足元からである。
ラシーントラベラー 左舷前方姿見
この度はG様、ラシーントラベラー納車誠におめでとうございます。製作には長らくのお時間を頂きましたが、お喜び頂けまして嬉しく存じます。それでは、ラシーンと素敵な人生の旅をお楽しみください。
今日はコレマデ。
本日の名言
冥冥之志
めいめいのこころざし。と読む。他人に知られることのない志や思い、または、他者にいわず黙々と努力に励むことをさした四字熟語である。