PAOは美術品なのか民藝品なのか
もとよりパオは工業製品であるから、美術品でも民藝品でもない。
しかし、工業製品だから美術品に成れないといふ観念には疑問を感じるわけである。
モノ好きのわたしとしては、工業製品であるカメラではライカのM3のデザインは
完全に美術、芸術品の粋に見える。
林檎のスティーブジョブズもイフォン3を発表する場で、クラシックライカのような
美しいデザインと比喩したわけである。
パオの開発者(古場田良郎氏)のお話のなかでは、
「例えば公園などにあるモニュメントだとか、親が子や孫に譲る」
などと云ふキーワードがある。
これはパオは美術、芸術品になる事を目指して造られたと推測できる。
なぜなら、美術品だからこそ残して行くという行為が生まれるのであって、
単なる流行りを狙ったくらいのデザインであれば持ちこたえて3年位が限界で、
子や孫に譲るなど到底可能ではない。
また、「磨きこんで味が出る」という風な発想は「用の美」であり、
柳宗悦やバーナードリーチらが開花させた民藝運動の世界である。
これらから分かるように、何方にしても「美」に対する追求が
パオのデザインにはあったわけだ。
今年はパオがノックダウンされて25周年を迎え、いよいよ自動車博物館入りか?
など想像はするけれど、パオは「美」であるから、
それよりニューヨークのMoMAに入る方が正当だとわたしはそう思う。
パオトラディショナル 前方姿見
この度は、奈良県奈良市のH様の元へお届けにあがられた
パオトラディショナルをご覧頂くコトに致そう。
奈良まちの旧い屋敷にコントラストが映えるアイボリー色のパオ。
住むところで車体色を選ぶといふのは面白い感覚である。
H氏はヘアーサロンを経営されており、パオがその看板の役割も果たしてくれるかもしれない。
パオトラディショナル 後方正面姿見
パオは後方から観るのが好きだ。
テールランプが左右三つずつ独立して配される様は感動である。
ランプ一つ5,000円以上するのだから、合計で3万円也。
現行車や未来のクルマはまずはこんな手間暇はかけて作れないだろう。
謹製ウェル帆布 ジャーマントップの張替え
バーガンディー色がアイボリーの車両に冴える、
ジャーマントップ生地でトップの張替えがおこなわれている。
全天候型で耐久性は抜群であり、メンテナンスさえすれば三十年以上の使用に耐える。
ならまちとパオ
H氏のお店の前で記念撮影
この度はH様、パオトラディショナル納車誠におめでとうございます。
点検もお越し頂きありがとうございます。
末長くお乗り頂けますよう努力致しますので今後ともよろしくお願いします。
今日はコレマデ。