手びねり、けずりの美
樂吉左衞門邸の前にそっとラシーンを留め置いて、そうすると
向ふところ、どこかの主人が雪駄をならしながら通り過ぎた。
カメラを構えていたわたしは、無意識にキャメラのハンマーを
引いてトリガーを切ったわけであるが、主人はどうやらわたし
には無関心であるがラシーンの姿にいたく興味があるらしい。
この後数秒ラシーンを眺めながら歩いて、そして樂家の御門を
ぐぐって行ったが、これは歩きスマホならぬ歩きラシーンであ
る。この主人は樂焼の手びねり、けずりの美を、ラシーンの造
形になぞらえ、脳内で昇華させるが如く、美しい物には反応す
るようである。
樂焼 邸宅前
この度は、京都府にお住いのY様の元へお届けにあがられた、
ラシーントラベラーをご覧頂きたいと思う。さいはてにて、
という映画に使用された、ライトブルーの美しいラシーンは
映画にこそ、少しくたびれた劇中車であったが、この度は、
内外装に手間暇かけて、オーナーの思いに美しく完成した。
樂 吉左衞門 屋敷
タイヤカバーはモカブラウン色にアイボリーのパイピング。
そのパイピングに合わせられた、背面タイヤステーのカラー。
樂 吉左衞門 屋敷
スチールホイールに純正タイヤカバーを装着するが、純正の
シルバーではなく、やさしい生成り色をチョイス。中央は、
ガンメタではなく、明るいシルバーとしライトなイメージに。
ラシーン60スタンダードレザー
生成り色のマットラッカーフィニッシュに、茶色のレザー。
ウッドハンドルは挿し色になった。
ラシーントラベラー 右舷後方姿見
モカブラウンカラーのタイヤカバーも、こうしてみると
和風の佇まいでCOOL。日本四駆とそう呼ぶに相応しい。
ラシーンちゃんと記念撮影
この度はY様、ラシーントラベラー納車誠におめでとう
御座います。はんなりしたラシーンに仕上げることが
出来て、とても光栄です。京都の街を練り走ってください。
今日はコレマデ。
本日の名言
不連続の連続
by樂 吉左衛門
一子相伝ではあるものの、代々同じことをやろうという
ものではなく、常に時代をとらえて茶の湯の頂点を極めて
来たからこそ、樂焼の素晴らしい価値である。