

Black Cab
伝統と革新、霧の街ロンドンに映えるBlack Cabと言えば、ロンドンタクシーの事である。45年もっと前に見たであろう、オースチンのFX3やFX4と云われる型式のBlack Cab(通称黒キャブ)は、わたしの脳裏に強く焼付いており、最先端の黒い車体にアンティークな内装のそれこそが伝統と革新であった。オースチンとはエゲレスの自動車会社であって、市井の人にはミニ(オースチンミニ)を製作していたことで知られている。たしか、1950年代日産はオースチンと技術提携を結び日産オースチンA50ケンブリッジサルーンというクルマを日本で組み立て販売を行っていた事は、現在は知る人は少ない。そんな少しの日産に所縁のあるオースチンの黒キャブを今回はPAOの車体をお借りして、ささやかに再現を試みたのである。

この度は、東京都世田谷区にお住いのK様の元へお届けにあがりました、PAO(Black Cab)をご覧頂きたいと思います。まずは、黒いパオに乗りたいという事でお話を頂き、わたしが黒いパオで思い描くのがBlack Cabであったのと、K様が内装を茶系でという事で、ロンドン仕様に相成りました。ボディーの各部の塗装色はとても繊細で、バンパーやグリル、ルーフレールなどなどシルバーのカラーは2色を使い分けて製作。細かな配慮がなされており申す。

ダッシュ上面には、今回天井に使用しているジャーマントップ生地を使用して張替えをおこなっており、装飾にダブルステッチをアイボリーの太糸をあしらう。エアコンの吹き出し口はSWのリプロで交換がほどこされ、さらに黒の艶消し塗装を行い、安っぽさを排除。実にこの造り込みから匂い立つ何かがSWのカッコよさである。

Black Cabの内装と言えば、ウッドとレザーというマテリアルが必然である。今回は新しい素材のレザーを使用しクラシカルな60デザインの縫製でリメイクをおこなった。また、少しのゴージャスさを取り入れる為、センターコンソールやハンドルコラムカバーはFigaroのをチョイスしている。

全開の青森から引き続き、今回も陸運局でたくさんの方に話しかけられ、その度に四方山ばなし。年々もの珍しくおもわれるのだろうか、それとも最新の車がとても退屈なものなのか。各メーカーのデザイナー様に目が留まれば嬉しく思う次第。

この度はK様、PAO(Black Cab)納車おめでとうございます。最先端の街TOKYOでBlack Cabが元気に走る姿が楽しみでございます。それでは、どうぞ長くお乗りくださいませ。
今日はコレマデ。
本日の名言
人間ってのはもともとみんな違う。 無理に普通にならなくてもいいはずだ。
byイムラヒモビッチ